004 日本語の教え方:授業は明るく元気よく
まず最初に、厳しい現実について書かねばなりません。
万人受けする授業は、ありません。
どんなにベテランの先生でも、実力がある先生でも、評価の高い先生でも、例えば週に100人の生徒を担当していて、そのすべてから最高の評価を受けることは、まずありません。
これは、どうにも仕方のないことです。
性格も能力も好みも十人十色、明るくにぎやかな授業が好きな生徒もいれば、落ち着いたアカデミックな雰囲気の授業が好きな生徒もいます。
文法の説明がしっかりとなされ、それを練習問題などでこなしていくのが好きな生徒もいれば、実際にしゃべることによって身に着けて行くというアプローチが好きな生徒もいます。
同じクラスの中でも、A先生の授業が最高だと思う生徒と、B先生の授業こそが最高だと思う生徒が混在します。
けれども、それでいいのです。
例えば、A先生の授業が高い評価を受けているからと言って、他の先生もみんなA先生の真似をすれば、A先生のコピーがたくさん生まれるだけです。
いろいろな先生がいていいのです。
いえ、いろいろな先生がいたほうがいいのです。
それぞれの先生が自分の個性を活かしていい授業ができるというのが、一番望ましいのです。
だけど、それは生徒に評価されなかったり嫌われたりしても構わない、ということでは全くありませんよ。
また、生徒の年齢や学力、意識等によっても授業のやり方は変わります。
例えば、生徒の年齢層が高め、すなわち大人の授業と、高校生がメインの授業を同じやり方ではできません。
それは、クラスの生徒たちの性格や好みを見極めたうえで調整して行くのがいいでしょう。
これはそんなに難しくないはずです。
でも、実際には生徒の属性や性格等が均一であることはまれで、いろんな人が同じクラスにいます。
では、どうすればいいのか。
私の経験では、最も無難なのは、明るく元気よく授業をすることです。
もちろん、それがあまりそぐわないクラスもあるでしょうが、その場合は変えればいいだけです。
ただ、どんなクラスでも、先生が明るく元気よく、そして何より楽しそうに授業をしていると、生徒も楽しい気分になり、積極的になってくれるのです。
そうすれば、当然休むことなく継続して通ってくれます。
授業は一種のパフォーマンスです。
いつも明るく元気よく、生徒に楽しんでもらうため、満足してもらうために授業をすべきなのです。
だから、生徒の態度等によってこちらの気分が上がったり下がったりするのは非常に良く無いのです。
これについては次回もう少し書きたいと思います。
とにかく、基本はいつも明るく元気よく、です。
それに、少しぐらいつらいことがあっても、疲れていても、生徒の顔を見ると元気になるでしょう?
そんなあなたは、きっといい先生になれます。