002 日本語の教え方:理想の授業の条件
こんにちは。
理想の授業とは、どのようなものでしょうか。
「いい授業をしたい」と言ったところで、いい授業とは何なのか、それがはっきりしていなければ進む方向も定められません。
私が先生たちへの最初の研修でいつも言っていた理想的な授業の条件はシンプルです。
・力がつく授業
・楽しい授業
・飽きない授業
この3つです。
学校を運営して行くには、とにかく生徒たちに来てもらわなければなりません。
生徒たちに、「受けたい」と思ってもらえるような授業をしなければ、学校はつぶれてしまいます。
では、どんな授業をしたら生徒たちは通い続けてくれるのか。
逆のことを考えると、ヒントになります。
私たちが生徒の時、学生の時、「行きたくないなあ」とか「この授業、受けたくないなあ」と思うのはどんな授業だったか。
その反対が、受けたくなる授業です。
ね? 上の3つの条件を備えている授業なら、通いたくなるでしょう?
もう少し解説します。
まず、わざわざ日本語を勉強しに時間と金を使って通ってきてくれているわけですから、その期待に応えなければなりません。
それが、「力のつく授業」です。
ほかの条件がどんなに優れていようと、力がつかない授業を展開されては生徒たちは離れてしまいます。
自分で授業料を稼いでいる人たちはなおさらです。
だから、これは当たり前すぎるほど大切なことです。
でも、いくら力がついたとしても、スパルタ式で授業を続けられたら生徒としてはさぼりたくなってしまいます。
だから、二つ目の「楽しい授業」がとても重要なのです。
授業中にたくさん笑って、楽しんで、気がついたら力がついていた、というのが生徒にとっては理想的ですね。
でもでも、どんなに楽しくても、同じ先生が同じ調子で教えていると、数か月も経つとだんだん慣れてきてしまい、刺激がなくなります。
簡単に言うと、飽きてしまうのです。
だから、生徒に長期間、数か月だけでなく数年間も(日本語がしっかり身につくまで)通ってもらうためには、飽きの来ないような工夫が必要なのです。
これ、かなりしんどいです。
でも、これができてる先生こそ、生徒たちがどうしても授業を受けたい先生、になれるのです。
そのためには、毎回毎回、手を抜くことなく臨機応変に授業を組み立て、生徒の満足度をあげなければなりません。
ところで、私はミーティングなどで先生たちに、「目指すべき授業」のイメージとして次のようなことをよく話していました。
例えば社会人の生徒の場合、仕事から疲れて帰ってきて、晩ごはんを食べて、ソファーに座って家族とともにリラックスしているとしましょう。
冬はすぐに暗くなりますし、外はひどく寒い。
そんなとき、
「これから地下鉄に乗って学校に行って2時間、日本語の授業を受けるのかあ、面倒くさいなあ、今日はさぼろうかなあ」
と思ってしまうのは当然です。
でも、その時、
「あ、でも今日はあの先生の授業か。そんなら面倒だけど行ってみようかな」
と思ってもらえるような先生になりましょう、そして、2時間の授業を楽しく受けて、帰るときに
「ああ、やっぱり来てよかった。今日、さぼらないでよかった」
と思ってもらえるような授業をしましょう。
いかがでしょうか。
次からはもう少し具体的な対応、考え方、準備等について書いていきたいと思います。